texcy luxeの人気モデル
「アブソリュートバリューズ」はこうして生まれた!
これまでのテクシーリュクスの集大成モデルとして、KONDOレーシング チームメカニック監修のもと誕生した「アブソリュートバリューズ」シリーズ。デビュー以来ファンを魅了する人気モデルはどのようにして開発されたのか。これまでにない機能、スタイルを追求した妥協なき開発秘話を中心メンバーに聞きました。
今回語ってくれた人
- 紳士・スポーツプロダクト本部
紳士・スポーツプロダクトマーケティング部
伊東 将利
- 紳士・スポーツプロダクト本部
デジタルマーケティング部
芳賀 健一
開発までの経緯。シューズから感動を届けるために
開発をスタートするきっかけは何だったのでしょうか。
伊東:アブソリュートバリューズの開発がスタートしたのは、2016年の秋になります。
その少し前からビジネスシューズブランド「テクシーリュクス」の新シリーズとして、これまでの集大成と呼べるようなモデルをつくろうという方針を掲げ、日々新たな商品の可能性を模索していました。
ある日、当社とスポンサード契約をしているKONDOレーシングのチームメカニックの方々とお会いする機会をいただき、実際にレーシングカーを見せていただいたり、さまざまなお話をさせていただいたりするなかで、ふと「靴と自動車って、足元を支えるアイテムとして共通点があるよね」という話題になりました。
なるほど。快適に足元を支えていくツールとして、レーシングカーの乗り心地をよくしていくテクノロジーを、当社がもつ靴のテクノロジーに落とし込むことができればおもしろいのではないだろうか。この想いが、そもそもの開発スタートのきっかけになりました。
ふとした会話からはじまったということでしょうか。
芳賀:すべりにくさや、靴のクッション性、車のサスペンションなど、似ている部分がいくつかあることが興味深く、そういうところからスタートしたというのがアブソリュートバリューズ開発の経緯になります。
開発に着手するまでの壁や、困難だったできごとはありますでしょうか。
伊東:最初の会話レベルの段階では盛り上がったものの、具体的にどう落とし込んでいけばお客様が納得し、「おお!」という驚きとともに喜んでいただけるか、という部分には頭を悩ませました。
たとえば、レーシングカーのシートに座ったときの、グッとお尻を固定するようなフィット性。これをシューズのかかとに置き換えたときに、このシートのようにかかとのぐらつきを抑えるような中敷をつくれないかと。
しかし、アイデアはいいと思うのに、具体的にどうカタチにすればいいのか、といったようなことが何度もありました。
そうした困難を、どのようなプロセスで乗り越えられましたか。
伊東:当社が培ってきた機能に、一度立ち返って考えてみました。つまり、これまで追求してきた「履き心地のよさ」という資産に対して、どのようにレーシングカーの考え方を取り入れ深掘りしていくかということです。
たとえば、当社の中敷は通常カップ型のインナーソールを使っていますが、それをどう特化していけばレーシングチームの求めていたシートに近づくのか、という思考のプロセスにしました。
どのような信念で開発に臨みましたか。
伊東:テクシーリュクスの集大成モデルを担う、アブソリュートバリューズの開発です。そんな大きな使命をもつシューズだからこそ、多くのお客様に「感動」を味わっていただくこと。その信念をもとに開発に臨みました。
履き心地のいいシューズをつくることからさらに一歩踏み込み、履き心地の体験から感動まで一貫して提供できるシューズへ高めていく。その想いは、今も変わることなく大切にしています。
「絶対的価値」の名に、ふさわしいスタイルと機能を
アブソリュートバリューズという、ネーミングの由来を教えてください。
伊東:直訳すると「絶対的価値」という意味になるのですが、もともとの命題であった集大成モデルになるという強い意志を込めています。
かつてテクシーリュクスは5,000円の上代からスタートし、中心となる価格帯は6,000円~8,000円です。
しかしアブソリュートバリューズは10,000円の上代に設定しています。つまり、テクシーリュクスシリーズの上位モデルです。これまで培ってきたものを核に残しながら、さらに価値観を上げていくために「絶対的価値」という意味の名前をつけました。
商品企画を立てる際に譲れなかったポイントは何でしょうか。
伊東:やはり集大成モデルということなので、機能と品質の両方に妥協しないことです。
お客様がその価格で納得されるかというところを突き詰め、従来モデルの中に埋もれないように、スタイルも機能も明らかに差別化できるものにしたいという想いがありました。
企画を立てるにあたり、どのような情報を収集されましたか。
伊東:中心の購買層を30代~40代男性と想定し、グループインタビューを行いました。インタビュー内容は、当社のテクシーリュクスと他社商品を覆面でお見せして評価をいただいたり、当社のシューズを一定期間履いたときの履き心地についてヒアリングしたりするというものです。
その結果、ある程度想定はできていたのですが、ある課題がみえてきました。それは、当社のシューズは履き心地は評価できるけど、スタイルが自分に合わないという意見が多いということ。
そこでアブソリュートバリューズでは、靴型(ラスト)のベースとなる形を一から見直すことにしました。
つま先をシャープにしつつ履き口にゆとりをもたせるなど、新たな靴型(ラスト)を起こしていったのです。
また、材料に関しては、従来モデルで使用していたやわらかな革ではなく、今回はハリやコシを重視した革を積極的に採用しています。そうすることで、リクルートフレッシャーズなど20代の方にも受け入れられるようなスタイルにすることに注力しています。
商品化を進めていくなかで、KONDOレーシングのチームメカニックからどのようなアドバイスがありましたか。
伊東:KONDOレーシングのチームメカニックには、仮のサンプルを実際に持って行き、直接お話を伺いました。レーシングカーのタイヤなら、サスペンションなら、というようにメカニックの視点からさまざまなアドバイスをいただきました。
芳賀:レーシングカーの場合、晴れた日のレースでは溝が入っていないタイヤを使用します。雨の日はスリットタイヤといって、水はけがいい状態をつくりだすタイヤを使用します。靴の場合、底面の溝は足が動きやすい状態をつくりだすためにあります。そういう多少のちがいと、共通する考え方をうまく擦り合わせることができたと思います。
そしてついに2017年12月「アブソリュートバリューズ」デビュー
アブソリュートバリューズの開発にあたり、こだわりぬいたところはどこでしょうか。
伊東:すべてにおいてこだわりましたが、特にデザインには注力しました。履き心地のよさに関しては従来モデルから高い評価をいただいているので、そこに対してデザイン性を寄せていくような作業を行いました。
シューズの見ためをよくすると、どうしても足入れに違和感をもたらしてしまうという相反する部分があるため、両者のバランスをどのように落とし込んでいくかというところに試行錯誤を重ねました。
また、靴型(ラスト)の重心を後ろにずらすことで前方をシャープなデザインにするなど、スタイルをよくするためにさまざまな工夫をしています。
自信をもって世に送り出した機能や技術はありますか。
伊東:自信があるとは別かもしれませんが、特殊な中敷を採用しています。従来モデルの中敷の厚みは3mm~5mmですが、アブソリュートバリューズは一番厚い部分で11mmの設計になっています。
着目したのは、レーシングカーのシートの部分。あのお尻をしっかり支える感触を足裏にも、という想いでよりよいフィット性をめざしました。
芳賀:中敷に関しては、何度もつくり直しているんですよね。つくって、履いて、違和感があると、ここを削ろう、ここを足そう、という感じで。より多くの方にフィット性を感じていただくために、これまでつくったことのない厚い中敷に挑戦しました。
そして2017年12月、デビューへ。お客様の反応はいかがですか。
伊東:6,000円の上代のテクシーリュクスを履かれるファンの方にどう受け入れられるか、正直不安はありました。価格帯もそうですが、履き心地もこれまでとはちがいますので。
やわらかな履き心地から、よりハリとコシのあるフィット性を追求した履き心地に対して「きつい」という意見もあるのでは?と考えていました。しかし実際には、「足がしっかりホールドされているからラクだ」「軽い」「スニーカーみたい」と評価していただけました。
一度足を通せば、わかっていただけると思う
アブソリュートバリューズはどのような方に履いていただきたいでしょうか。
伊東:これまで見ため重視で靴を買われていて、自分の足を靴に合わせてきた方々にもぜひおすすめしたいですね。一度足を入れていただければ、履き心地のよさをわかっていただけると思います。
芳賀:今年、渋谷で期間限定ストアを出店した際も、アブソリュートバリューズが一番人気でした。現在、従来のテクシーリュクスをご愛用いただいているお客様にも、ぜひ一度お試しいただきたいモデルに仕上がったと実感しています。
最後に、お客様へメッセージをお願いします。
伊東:テクシーリュクスシリーズは、2019年の年末でデビュー10周年を迎えます。
発売当初から履いていただいているお客様にも、これからも履き心地のよさはそのままに、スタイリッシュなモデルをどんどんご提供していきたいと考えています。
また、現在テクシーリュクスのコンセプトショップの出店や、各都道府県に1店舗ずつテクシーリュクスのプレミアムショップを増やしていこうとしています。
これらの展開を積極的に行うことで、実際に履いていただける場所や機会を提供し、一人でも多くのビジネスパーソンの方に、履き心地のいい感動体験をお届けできればと考えています。